製造工程
6.抄紙(しょうし)
(流し漉き)
(溜め漉き)
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[紙出し](かみだし)
煮熟し叩解したあと、紙料(しりょう)を袋に入れて手でよくかき混ぜてでん粉質などの不純物を洗い流して精選(せいせん)します。
[抄紙](しょうし)
漉舟(すきぶね)の水中に紙料を分散させ簀桁(すげた)ですくい上げるというこの紙作りの最も中心的な作業を「漉(す)く」といいます。奉書・画仙・小紙・大紙それぞれ多少漉き方は異なりますが、いずれも紙料を入れて攪拌(かくはん)し、ネリを加えて調整するという「たてる」作業から「漉き」は始まります。
−流し漉き−(ながしずき)
流し漉きとは、楮や雁皮などの紙料にトロロアオイやノリウツギなどから採ったネリを加え、簀桁で何回も紙料液を汲み込み、目的の厚さに達すると桁から簀をはずし、簀の上にできた湿紙(しとがみ)を重ねていく方法です。
この方法ですと、繊維の切断や昔のような丹念な叩解しなくても、ネリを加えることで紙料液は溜め漉きよりさらに水漏れが遅くなり、何回も紙料液を汲み簀の上で往復させ、ゆっくり紙層を作ることができます。
−溜め漉き−(ためずき)
溜め漉きとは、叩解がおわった紙料を漉槽に入れて簀で汲み込み、水の滴下にまかせて簀の上に紙層を形成する漉き方です。簀桁をまったく動かさないでは紙面に凸凹ができやすいので、ゆるやかに縦横に揺り動かして漉きます。湿紙ができたあと布に移し、湿紙と布を交互に重ねていきます。
溜め漉きに使われる紙料は、繊維が短く、よく叩解されているものほど水中での分散がよく、簀で紙料を汲みこんだとき簀からの水漏れが遅いので、一回の汲み込みで湿紙の地合を作ることができます。一枚ごとに布を入れていたのは、叩解度の高い紙料は,湿紙と湿紙を重ねるとくっつきあい、乾燥するときに剥がすことが困難になるためです。